漢方茶って漢方薬なの?
おかげ様で、皆様に漢方茶を手にとっていただく機会が徐々に増えてきています。
有難うございます!
そんな中、お客様とお話するときによくいただく質問があります。
「漢方茶って漢方薬ですか?」
その他、
「イライラするのをなんとかしたくて漢方薬を飲んでいるんですが、その漢方薬には『イライラ』の漢方茶に入っている生薬が全部入っているんですか?」
「漢方茶も漢方薬と同じくらい効果がありますか?」
「漢方茶と漢方薬って何が違うの?」
などなど、様々な質問をいただきます。
漢方に関する情報があまりない中、漢方茶と漢方薬を見分けるのは確かに難しいことだな、と感じたので、今日は「漢方茶と漢方薬の違い」についてお伝えします。
簡単に言うと、漢方茶は「食品」、漢方薬は「医薬品」です。
ですので、まず効果が異なります。
漢方茶はそこまで不調のない人が生活の中に取り入れるもの、漢方薬は不調がある人の身体をサポートしてくれるもの、といったところでしょうか。
そもそも漢方薬とは?
漢方薬は何種類かの生薬(しょうやく)を組み合わせたものです。
生薬とは、薬として効能がある植物、動物や鉱物のことで、漢方薬の原料です。
有名な葛根湯(葛根湯)という漢方薬は、葛根(かっこん)・桂枝(けいし)・麻黄(まおう)・芍薬(しゃくやく)・甘草(かんぞう)・大棗(たいそう)・生姜(しょうきょう)という7種類の生薬を組み合わせたものなのです。
葛根だけを煮つめてできるのが葛根湯ではありませんよ!
そして、上記の生薬をそれぞれ何gずつ配合したらよい、というように、漢方薬には私たちの先人達が数千年以上もの経験を基にして作り上げたレシピがあります。
上記の葛根湯は
現在では、こんな風に葛根湯は、葛根 8.0g、桂枝 3.0g、麻黄4.0g、芍薬3.0g、甘草2.0g、大棗4.0g、生姜1.0gから成り立つということになっている医学書があります。
※他にも葛根湯のレシピがありますが割愛します。
そして、こんな時にこんな体質の人に用いると症状が改善される、ということも古い医学書に書かれており、こんなに科学が発展している現代においても漢方を学ぶ時には古典を読むことが大切なのです。
一方、漢方茶には漢方薬のようなレシピがありません。
そもそも漢方には「お茶」という考え方がありません。
では、寿元堂薬局の漢方茶は何を基に作ったかと言うと・・・
あくまで寿元堂薬局でよく用いる漢方薬の処方の中から、その処方の方向性を決める生薬をピックアップして、民間療法で用いられてきた薬草と組み合わせたものなのです。
※漢方薬が数種類の生薬を煎じたものであるのに対し、民間療法で用いられる薬草は単一で煎じて用いられる場合がほとんどです。また、例として同じ便秘で悩む人に対して、漢方薬は体力の有無、胃の不調の有無、冷えの有無などその人の証(体質)などを考慮して薬を決めていくのに対し、民間療法では便秘なら〇〇というように、煎じて飲む薬草を症状だけをみてざっくりと决めるようなイメージです。
それを五行説の考え方をベースに振り分けています。
ただ、実際に漢方薬を用いる場合の臨床では五行説に強くこだわることはありません。
五行説の理論も中々面白いものですが、人間の身体は機械ではないので理論通りにいかないことが少なくないからです。
漢方茶は漢方薬ほどの効果は期待できません。
しかし、「『眠りにくい』の漢方茶を飲んで気持ちよく眠れた」「『冷え』の漢方茶を飲んでポカポカするような気がした」など、嬉しいご報告があるのも事実。
複数の生薬を組み合わせた漢方薬の効果が、現代の素晴らしい科学をもってしても未だ解明できていないように、生薬や薬草の組み合わせた漢方茶にも無限大の可能性があるのかもしれません。