今も昔も薬局に来られる方で、漢方薬でないものを漢方薬と誤解している人は多いものです。
今日は漢方薬だと誤解されやすいものについて簡単に紹介していきます!
まず、おさらいから。
漢方薬の剤型でお伝えしたように、漢方薬とは何種類かの生薬を組み合わせたものでした。
「薬草=生薬=漢方」のような連想によって様々な誤解が生まれるのは避けられないことかもしれません。
また、それぞれどこでボーダーをひくかが難しいという問題点もあります。
ですが、めげずに簡単にまとめてみたので皆さん頑張ってついてきてください(笑)
【日本の民間薬】
これが1番漢方薬と誤解されやすいものですね。
今は皆、当たり前のように不調があれば病院にかかっていますが、昔は「医者にかかる」ということ自体が一般的でない時代が長く続きました。
では、医者にかかれない人たちはどうしていたのか?
民間で経験され、伝承によって行われてきた治療法で対処していました。
1種類から数種類の薬草を症状に合わせて用いますが、漢方薬のようにそれぞれの体質を考慮するということはありません。
風邪を例に出すと、漢方薬では比較的体力があり、風邪のひき始めに悪寒、頭痛、首筋や肩のこわばりなどがあれば葛根湯(かっこんとう)。比較的体力が弱く、胸がつかえるような感じがして微熱が続くような場合は小柴胡湯(しょうさいことう)。体力の衰えている人で冷えを強く感じる時には麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)。
などといったように漢方薬はその人の状態や症状に合わせて選ぶ薬が変わってきます。
一方で、民間薬では体質は考えずに病名や症状をもとに薬草を選びます。
「いぼとりにヨクイニン」「風邪といったら卵酒」という感じです。
「漢方薬飲んでた」と言う方に何を飲んでいたのかお伺いすると、「どくだみ」「ヨクイニン」「杜仲(とちゅう)の葉」などといった答えがよくかえってきますが、それらは民間薬草や生薬の1つであって単体では漢方薬とは言いません。
薬草を飲んだからと言って、漢方薬を飲んだような効果を期待してはいけませんし、漢方薬は効かないと思わないようにしてください。
とは言え、民間薬草の中でも割と効果を実感できるものもあります。
難しいですよね~(^_^;)
【外国の薬草】
日本の民間薬と同じように、病名や症状に合わせて用います。
ハーブなどは私たちの身近なものですよね。
少し話が脱線しますが、漢方の原料である生薬とハーブでは同じ物が使われていることもあるんです(*^_^*)
甘草(かんぞう)はではリコリス、丁字(ちょうじ)はクローブといった具合に、同じものでも呼び名が異なりハーブの呼び名だと途端にオシャレなイメージになるのが悔しいですが・・・(笑)
ハーブティーでお馴染みのカモミールなんかは日本でも「かみつれ」といって民間療法で使われていたんですよ~。
【中国の製品】
漢字で名前が書いてある時点で漢方薬だと思ってしまわれることもしばしば・・・。
漢方にも流派があるのをご存知ですか?でお伝えしたように、中国医学の薬のことは中薬(ちゅうやく)と言って基本的には漢方薬とは異なるものです。
健康食品やお茶も中国のものというだけで漢方薬だと思っている人が多いです。
【健康食品やサプリメント】
健康食品やサプリメントに生薬のエキスが含まれていると漢方薬と思う方も非常に多いです。
最近あった例として、漢方を扱っている薬局で購入した生薬のエキスも何も入っていないただの栄養補助食品のことを「漢方薬」だと思い込んでいる方もいらっしゃいました。
お客様が漢方薬を今まで試したことがある場合、参考までにどのようなものを飲んでいたのか、不都合なことはなかったかお伺いすることがあります。
そのお客様も「漢方を飲んでいる」と言われたので、商品を拝見すると漢方薬ではなかったのですね。
「漢方」の看板を掲げているからと言って、扱っている商品が全て漢方薬だとは限りません。
これに関しては、一般の方にとって漢方は馴染みのないものということをふまえてお客様に商品の説明をしていれば防げたのではないかと個人的には感じています。
しかし、購入するお客様がその薬局を選ばれたのも事実。
相性もあることですし、漢方薬局を選ぶ際には色々なところに足を運んで “漢方薬局のはしご” をしてみてもいいのではないでしょうか?