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北山 恵理

漢方薬をたくさん飲んでも大丈夫?

少し前の記事になるのですが、漢方薬を飲んでいる方、またこれから漢方薬を試そうと思っている方に是非読んでいただきたい内容でしたので紹介します。

寿元堂薬局が35年以上連載している、リビング新聞社さんに質問が届きました。

「Q.漢方薬をたくさん飲んでも大丈夫ですか?」
大阪に住んでいる妹が、4種類の漢方薬と3種類の健康食品を勧められて飲んでいます。一度にこんなにたくさん飲んでもよいのでしょうか。(57歳、女性)

という内容で、以下、寿元堂薬局の回答です。

「A.1人が飲む漢方薬は1種類が原則です」
詳しいことが分かりませんので、一般論を述べさせていただきます。

私の知る限り、1人が飲む漢方薬は1種類が原則です。体質や症状などに適した漢方薬を選ぶのです。寿元堂薬局の経験でも85%以上の人に1種類の漢方薬で対応しています。

中には2種類の漢方薬を飲んでいただくことがありますが、それは次のようなケースです。

①複数の病気や症状があり、複数の漢方薬で対応せざるを得ない
②体質や症状などに適した漢方薬が製剤にない場合、2種類の漢方薬を組み合わせて別の内容の漢方薬として使用する
③1種類の漢方薬で対応が難しい症状に、2種類の漢方薬を使って効果を高める

このように、2種類の漢方薬を必要とすることはあっても、4種類もの漢方薬を一度に使うことは通常では考えにくいことです。また、漢方の効果を知る専門家が健康食品やサプリメントを利用することは極めてまれです。まして3種類も飲んでいることには大きな疑問を感じます。

さて、漢方薬が普及している現在でも、「漢方とは何?」と問われて正確に答えられる人はほとんどいません。漢方は古い時代に渡来した中国医学が日本の風土や日本人の体質に適するように変革した日本人のための医学であり、中国の医学とは別のものです。

現在の日本で〝漢方薬〟を扱う人たちは大ざっぱに次のように分類できると思います。

①日本の伝統医学である漢方の専門家
②中国医学の専門家
③西洋医学の考え方で漢方薬を扱う人
④健康食品やサプリメントと同じように漢方薬を扱う人

それぞれの是非はどうあれ、漢方という医学の考え方によって漢方薬の効果を追求しているのは①だけです。

しかし、漢方を知らない人には、①から④までのすべてが〝漢方の専門家〟に見えるようです。

漢方を修得することは難しく、学ぶ機会も全国的に極めて少ないために伝統ある漢方医学の継承者は激減しています。

ところが、〝漢方〟を標榜することはたやすく、漢方薬を使うことが漢方医学だと錯覚している人があまりにも多いのです。〝学びやすい安易な使い方による漢方薬の効果〟が一般化した結果、漢方本来の効果を知らない人が増えてしまいました。今では漢方薬の合理的な使い方と漢方本来の効果が忘れられようとしているのです。

このようなことから、妹さんがお世話になっている人は、漢方の専門家ではないと思われます。

漢方薬については、やはり専門家を探して相談なさるとよいでしょう。

 

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